電源MBDは試験モデルが効果的
デジタル制御電源のモデルベース開発をしていて、シミュレーションを制御設計だけで終わらせていませんか?
制御の安定性がよさそうだ
過渡応答も問題なさそう
「よし、実装して動かそう。」
と思った方、ちょっと待った!
電源のモデルベースでは試験をモデリングすることをお勧めします。
実機で行う結合試験をあらかじめモデリングしておくこと、後の工数がずっと削減できます。
テストモデル作成のすすめ
電源シミュレーションを行うにあたり、シミュレーションの中で様々な試験をすることが工数削減にとても有効だということが、これまでの弊社の経験でよくわかってきました。
デバッグして試験、デバッグして試験、、、、これを繰り返すわけですが、実機で行ってしまうと、ハードとソフトが複雑に絡み合う実機試験では、欠陥のメカニズムが分からず、解決の糸口が見つからず時間だけが過ぎていく負のスパイラルに陥ってしまう可能性があります。
制御シミュレーションをしていたとしても、テストシミュレーションまでしていなかった場合、以下のような流れになるでしょう。
問題は、検査不適合のメカニズムを設計者が解明できないことにあります。
不適合の理由は、ソフトにあるのか、ハードにあるのか、それともその境界面にあるのか。これを言い切ることができないと欠陥は一度解決したと思ってもゾンビの様に蘇ってあなたを襲ってきます。
どうか体調を崩されないよう、環境構築をしましょう。
そしてテストモデルがあった場合は以下の様になるでしょう。
テストモデル作成し、シミュレーションした時点で、テストに合格しないようであれば、実機に入れても絶対に試験合格しません。
これは断言できます。
テストモデルで合格したものが、実機で合格しない。
これは起こり得ます。この場合テストモデルが間違っているか、モデリングできていない範囲で起きた現象が影響しているか、理由は様々あるかと思いますが、テストモデルで再現させることを目指しましょう。
再現出来たら勝ち
テストモデルでOKが出ていた試験が、実機ではNGだった。
このとき、テストモデルの修正などで結果が再現できた場合、勝ったも同然です。
テストモデルで不具合再現ができたということは、不具合に至るメカニズムが設計者には分かっているということになります。これを修正することはそこまで大変な作業ではないでしょう。
そして、新たに作り直したテストモデルでOKを出せたのなら、実機でもOKにできるでしょう。
ちなみに、すべての現象が再現できるとは限りません、再現することがあまりにも困難な場合、無理してモデリングするのは徒労に終わる可能性もありますので、この場合は実機合わせの方が早いと見切りをつけるのも良いかと思います。
テストモデルとは
抽象的な話をしてきましたが、ところでテストモデルとは何のことを言っているでしょうか。
ここで指しているテストモデルは、主にソフトウエアの試験に対するモデルです。
つまり、ソフトウエアが仕様通り振る舞うかに対する試験であり、以下のような項目が含まれます。
ここで、ハードウエアの試験については、本記事では扱いませんが、もちろんハードだけでシミュレーションで行っておくと良いでしょう。
従って、例えば、規格ものの試験や、社内規定試験のうち、ソフトウエアに関連するものはほぼ全てモデリングしておくとよいでしょう。
あらかじめ試験方法が分かっているわけですから、モデリングして試験に通らなければ、実装する必要すらありませんね。
さて、どのように試験モデルを作成し、シミュレーションするかについては別記事でサンプルモデル付きで上げたいと思います。
お待ちいただければ幸いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
制御設計だけで、シミュレーションを使っていた方は、是非試験モデルの作成もして実機試験での手戻りを少なくしましょう。
モデルベース開発については、こちらにまとまっておりますので、併せてご覧ください。
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また、弊社スマートエナジー研究所では、試験モデルや電源開発に関するモデルベースの技術支援サービスも行っております。ご参考にしていただけましたら幸いです。