MBD初心者必見!
電源FB制御のためのモデル
プラント編
モデルベース開発の準備が整って、さあモデルを作り始めようと思ったときに、どこから始めたらいいかわからなくなってしまった、そこのあなた。
まずは、フィードバック制御しよう!と思っている、タイムリーなあなた。
是非、モデリングの方針のためにこの記事を読んでいただければ嬉しいです。
サンプル回路もありますので、有効活用してください。
ここでは、パワエレ向け高速回路シミュレータ Scideamで、フィードバック制御モデルを作るときに、どんなモデルを作ればいいか、ざっくりと説明します。
どんなモデルが必要か
作りたいモデルとしては、「制御モデル」、「プラントモデル」です。
「制御モデル」は、文字通りフィードバック制御の補償器の部分でPID制御器などのことです。「プラントモデル」は、制御対象のモデルで、電源回路そのものになります。
ここでは、フィードバック制御を行うのに必要なプラントモデルについて、
フィードバックに必要な部分だけを抜き出して考えましょう。
具体的に作るモデルは?
フィードバック制御を行うのに必要なモデルは以下となります。
まず動かすのに作りたい内容
- プラント部
- スイッチ駆動部(たとえばPWM制御)
- 制御部
- フィードバック制御部(例えばPID制御)
- スタートストップの機能
- ソフトスタート機能
そして、これらが出来上がれば、作ったモデルの評価をするということになりますので、以下の評価したい内容に合わせてモデルを修正するということになります。
- 評価したい項目
- 負荷特性の確認
- 周波数特性の確認
Q.保護は考えなくていいですか?
A.考えなくてOKです。
シミュレーションですから壊れる心配ありませんので、むしろどんな制御を入れてしまうと電源側が大暴れしてしまうのか、わかったほうが制御系が早く設計できます。
実機とは違いますのでガシガシ大暴れさせていきましょう。
プラント部の作り方
何はともあれ制御系のためのプラント部の設計をしていきましょう。
制御系に必要なものだけ抜き出します。
降圧型コンバータを例に挙げて、実際の回路から考えてみましょう。
実際の回路を駆動するには、
ドライバやセンサがたくさん必要ですが、モデルに対してはそれらはおおよそ必要ありません。
センサは電圧電流の値を直接取得してくれば良いですし、ゲートドライブは時比率の値を直接指令すればよいです。
ですので、以下のモデルで十分です。
ゲート抵抗を入れるのは、スイッチのオンオフの傾きを調整したいからで、そこに影響が出るのは、損失と雑音です。制御系にはほとんど影響ありません。
センサ回路は、電圧や電流の値を安全正確に取得するためにあります。制御系としては、電圧と電流の値だけ取れれば良いわけです。フィルタ回路はノイズ低減のためですので、制御には関係ありません。
唯一、センサ回路の周波数特性だけは気にしたほうが良いですが、基本的には気にせずやってOKです。
で、これをSimulinkとつなぎ合わせればOKです。
Q.デッドタイムはモデリングするべき?
A.場合によっては無しでもOKです。
これは難しいですが、制御系への影響を無視できるのであれば、考えなくてもよいです。
理想スイッチでのシミュレーションですので、ハイサイドとローサイドのスイッチがショートするということもありません。
デッドタイムをつけるのであれば、FETにボディダイオードをつけてください。
プラントモデルの確認
入力は時比率、出力はセンサーの値です。
以下のような簡単なモデルで接続されているか確認しましょう。
Simulinkとの接続は、Simulink上にScideamブロックを配置することで簡単に実現可能です。(図はSCALE_CONNECTの画面を参考までに添付しています)
まとめ
制御設計のためのプラントモデルの概要でした。
目的のためのモデルの作り方が分かれば、プラントモデルはすっきりするということがご理解いただけたかと思います。
モデルベース開発については、こちらにまとまっておりますので、併せてご覧ください。
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本モデルは、パワエレ向け高速回路シミュレータScideam(サイディーム)で動作可能です。
本記事のモデルは以下からダウンロードしてください。