フィードバック制御の安定性解析
アナログPID電圧制御
電源回路をフィードバック制御するときに、その評価として制御安定性を解析したくなりますよね。
ここではアナログ回路の電圧フィードバック制御について、シミュレータを使った周波数応答解析(FRA)の方法を解説します。
シミュレータは、弊社のパワエレ向け高速回路シミュレータScideam(サイディーム)を使用します。
製品版をフルに30日間試用することもできますので、ぜひご利用ください。
降圧型DCDCコンバータの電圧制御の安定性
それでは、降圧型DCDCコンバータのフィードバック制御の安定性を確認しましょう。
サンプル回路は以下からダウンロードしていただけます。
本モデルは、パワエレ向け高速回路シミュレータScideam(サイディーム)で動作可能です。
本記事のモデルは以下からダウンロードしてください。
サンプル回路は以下の図の様に、
- DCDCコンバータ部
- コントローラ部
- 微小信号発生器
に分かれています。
微小信号発生器(ACSweep素子)は制御部の直前に入れています。これで、準備が整いました。
微小信号発生器を入れる場所については以下をご覧ください。
解析手順
それでは、準備が整いましたので、一巡伝達関数の周波数特性を取っていきましょう。
微小信号以外に振動する要因があっては解析を行うことができないので、回路が十分に定常状態となるまでの時間を測定します。
Transientモードで、0.05秒解析します。
0.05秒付近では、すっかり定常状態になっているように見えます。
ズームイン(Ctrl+マウスドラッグ)と縦幅合わせ(グラフをダブルクリック)で拡大してみましょう。
ここで、回路が発振していたり、振動が消えていないと正しい解析ができないことにご注意ください。
波形情報を表示すると、よくわかります。
この範囲のピークトゥピーク値は、2.22044604925031E-14ということのようで、e^-14ですので、ほぼ無視して良い計算誤差だと思います。
十分定常状態になっているといえるでしょう。
次に、Bodeパネルにて、どこからどこまでの範囲を解析するか指定します。
ここでは、OUT1の電圧からRの電圧までの範囲が解析範囲になります。
Bodeのタブから、上の様に設定してください。
- FRA開始時間:0.05 (先ほど定常状態になるのにかかった時間です。)
- ACSweepを選択:VAS1
- From : OUT1:V:AVE
- To : R:V:AVE
設定が出てきたらRunです。
Bode線図が出てくるので、位相余裕を確認します。
以上です。簡単ですね。
部分周波数特性解析
同様にして、コンバータ部分、制御部分、フィードバックまで含んだ部分の三つをとって重ねてみましょう。
三箇所の指定の方法は以下の通りです。
測定箇所 | From | To |
---|---|---|
補償器 | OUT1:V:AVE | AMP1.Vo:V:AVE |
コンバータ | AMP1.Vo:V:AVE | OUT2:V:AVE |
以下のボタンをクリックすると、全ての波形を重ねて表示する事が可能です。
コンバータの特性に、制御の特性が足されて、フィードバックの特性となっている事がよくわかりますね。
まとめ
サイディームでの電圧フィードバック制御における安定性の解析方法を解説いたしました。
特に大きなパワーや電圧を扱うパワコンは周波数特性を取ることが難しいと思います。
是非簡単にシミュレーションを実行してみてください。
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