いまさら聞けないデジタル電源超入門
第1回 概要編
デジタル電源の概要
古典的なアナログ電源の制御は、制御部分を専用のPWM(パルス変調)ICによって制御を行っています。
これに対し、デジタル電源ではこのPWMの制御部分をマイコンやDSP(デジタル信楽処理プロセッサ)を使ってソフトウェアで制御しています。
デジタル電源の要素技術
デジタル電源を設計する場合、古典的なアナログ電源とは違い、いろいろな要素技術が必要となります。
回路開発の知識はもちろんのこと、制御に使う組み込みプロセッサ、デジタル信楽処理、制御ソフトウェア、制御理論なども知る必要があります。
また、従来のアナログ電源と違い、デジタル電源は他の機器や電源とデータのやり取りを行なう通信機能も付加することができます。
それにより、システムの柔軟性や信頼性を上げることが可能になります。
組み込みプロセッサ
デジタル電源を作る場合、いろいろな機能が付いた高速な組み込みプロセッサが必要となります。機能として、必要なものでは下記があげられます。
- タイマ割込み
- A/Dコンバータ
- PWMモジュール
- シリアルI/FなどのI/O
- 制御ソフトウェアを格納するメモリ
この様なモジュールを内蔵した高速なMCUまたはDSPを使って設計することになります。
最近では、これらの機能を内蔵した安価な組み込みプロセッサも世の中に出回っています。
デジタル電源に必要な制御理論と信号処理
デジタル電源を設計する場合、制御用のソフトウェアを作る必要があります。
制御プログラムでは電源の安定性を保つために一般的に使われている制御理論を使います。
よく使われているのはP制御、PI制御、PID制御などの古典的な制御理論です。現代制御理論を使うことも可能です。
PID制御では、入力値と目標値との偏差、積分、微分の要素を使って制御を行います。デジタル制御を行う場合、積分や微分などはデジタルフィルタを使います。
通信機能
インテリジェントなデジタル電源を設計する場合、通信機能も重要です。
通信機能を使うことにより、現在の電源の状況を他のモジュールに送ったり、他のシステムからの指令によって、出力電圧や電流を変えたりなど、柔軟な対応ができるようになります。
また、クラウドなどのネットワークとの接続により、大規模なエネルギーシステムを構築することも可能になります。
通信方式としてはSPI、SCI、CAN、I2C、USBなどのシリアル通信の他、LAN、 WiFi、Blouetooth、Wi-SUNなどのネットワーク通信があります。
まとめ
デジタル電源を設計する際には、古典的なアナログ電源とは違い、いろいろな要素技術が必要となります。
回路開発の知識だけでなく、組み込みプロセッサや制御ソフトウェアや制御理論を知る必要があります。また、通信機能も付加することで、システムの柔軟性や信頼性を上げることが可能になります。
次回はタイマ割込みについてご紹介します。
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