さまざまなPWMの設定方法
概要
降圧型DCDCコンバータを例に挙げ、PWMの様々な設定方法を解説します。 シミュレーション対象に合わせて、適した方法を選びモデリングしてください。
Note
回路ファイルはTOPページからダウンロードできます。
PWM Switch
Example
pwm\PWMSwitch_BuckCNV.scicir
PWM Switch
(PWMスイッチ)は時比率の設定をするだけで、指定周波数でスイッチングを行うことができる素子です。
スイッチは理想素子であり、オン抵抗とオフ抵抗を切り替えて使用します。
サブ周波数
を設定しない限り、スイッチの周波数は メイン周波数
と同じになります。
サンプルではスイッチの時比率を0.5
で設定しております。
シミュレーションは Waveform
解析を用いて 5m
秒シミュレーションを行ってください。
指定した時比率で動作させたときのシミュレーション波形を確認することができます。
ここで、以下の図のようにスイッチングさせたい場合、PWMSwitchのパラメーターを以下のように設定します。
- 初期状態 : OFF
- 時定数 : 0.4, 0.7, 0.9 (+ボタンをクリックして追加)
- モード : Ratio
まず、スイッチング開始時にスイッチがオン条件になるのか、オフ条件になるのか 初期状態
で指定します。この例の場合は OFF
です。次に、オンからオフ、あるいはオフからオンの遷移を行うタイミングを設定します。モード
がRatio
の場合は比率で、Time
の場合は時刻で指定します。
以上の設定で、スイッチング方法を指定することができます。
PWMSwitch + PWM
Example
pwm/PWMModulator_BuckCNV.scicir
PWM
(パルス変調器)は設定した PWM Switch
(PWMスイッチ)の時比率を入力差電圧から決定します。
パルス変調器[PWM]の時比率の算出方法
D :変調時比率
Vi :入力信号電圧
Gain:変換ゲイン
Reference Duty:基準デューティ
Minimum Duty :最小デューティ
Maximum Duty:最大デューティ
このサンプルでは出力電圧と基準電圧:Vref
をPWM
の入力として、
時比率を計算し、PWM Switch:Q
へ設定しています。
このように設定することで出力電圧に伴って時比率を変動させることができます。
パルス変調器の注意点
PWM
は後述される Comparator
と Saw Tooth
によるPWMの設定方法と同じような動きを行いますが、PWM
はデジタル素子であるため、デジタルの1周期遅れが発生しますのでご注意ください。
シミュレーションは Waveform
解析を用いて 0.5m
秒シミュレーションを行ってください。
指定した時比率で動作させたときのシミュレーション波形を確認することができます。
Switch + Pulse
Example
pwm/Switch_BuckCNV.scicir
時比率の設定は Pulse
(パルス発生器)で行います、Pulse
:P
の出力電圧と PWM Switch
:Q
の閾値電圧の設定により、スイッチのオンオフが決定されます。
Switch
と違い、Pulse
の出力電圧を出力変数に設定することができるため、ゲートのオン信号を結果として出力することができます。
スイッチは理想素子であり、オン抵抗とオフ抵抗を切り替えて使用します。増幅動作のシミュレーションを行いたい場合は MOSFET
素子を Switch
と入れ替えて Pulse
で駆動することが可能です。
サブ周波数
を設定しない限り、スイッチの周波数は メイン周波数
と同じになります。
シミュレーションは Waveform
解析を用いて 5m
秒シミュレーションを行ってください。
指定した時比率で動作させたときのシミュレーション波形を確認することができます。
Switch + Comparator + Saw Tooth
Example
pwm/SwitchComp_BuckCNV.scicir
時比率の設定は Comparator
(コンパレータ)と Saw Tooth
(のこぎり波発生器)で指定します。
通常、アナログ素子を使ってフィードバック制御 などを行う際にこのようにします。
このサンプルでは、1V
のノコギリ波に対して、500mV
の電圧源で比較しているため、Comparator
の出力は時比率0.5
になるようにパルスを発生させます。
Saw Tooth
の周波数は サブ周波数
を設定しない限り、 メイン周波数
と同じになります。
シミュレーションは Waveform
解析を用いて 5m
秒シミュレーションを行ってください。
指定した時比率で動作させたときのシミュレーション波形を確認することができます。
プログラムから時比率設定
Example
pwm/PWMSwitchProgram_BuckCNV.scicir
Info
このサンプル回路ではスクリプトを使用します。
スクリプトを使用するサンプル回路にはオプション:DigitalPalette
が必要です。
スクリプトから PWM Switch
(PWMスイッチ):Q
の時比率を設定するサンプルです。デジタル制御を行う際などの場合にこのようにします。
PWM Switch
や Pulse
(パルス発生器) は、図のようにスイッチングのオンオフ遷移時間の変数名を Tn
(nは0から始まる整数)というパラメーターを持っています。この例の場合 T0
だけを指定し、スクリプトから時比率を指定します。