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状態オーバー検出、状態未確定検出に関するトラブルシューティング

状態オーバー検出および状態未確定検出は複数の原因で発生するため、原因に合わせた対応が必要となります。
多くの場合は下に示す対応にて解消しますが、状態検出は問題点が複数混在している場合や、
対応によって別の問題が発生する可能性があるため、1対応ずつご確認いただくことを推奨しております。

状態の確認方法

状態オーバー検出や状態未確定検出が発生した場合、State Viewerが立ち上がり、 サイクルごとの素子の状態を確認することができます。

状態オーバー検出や、状態未確定検出は、主に素子がON状態、OFF状態を繰り返してしまうことで発生します。 問題が発生した場合には、まずState Viewerを確認し、ON状態OFF状態が繰り返されている素子に注目してください。

Example

例えば下記の場合、コンパレータ:CMP、ダイオード:D、スイッチ:Qの状態が決定できておりません。
まずはこれらの素子の設定や、周辺回路を確認してください。
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Scideamにおける状態の定義についてはシミュレーションエンジン:状態についてをご確認ください。


状態オーバー検出の代表例と解決方法

例1

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スイッチがオンすると、理想スイッチのためにゲート電圧がステップ上に持ち上がりオンできなくなります。 このような場合、回路動作に矛盾が発生し、動作が不定となります。

例2

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理想スイッチのため、各コンデンサの電圧・電流がステップ状に変化し、​ それぞれがループしてしまい電圧電流が不定となります。

解決方法

  • 矛盾の発生や解が不定にならないようにモデルを修正する
    どうしても、矛盾が発生してしまうような回路やロジックの場合は、ヒステリシスやRCフィルタによる遅れなどを利用することで状態決定がしやすくなります。

  • 適切な初期値を与える
    初期条件が決まらず不定になるような回路の場合は、CやLに適切な初期電圧、電流を与えてください。


素子ごとの解決方法例

回路構成

  • シミュレーションの目的に応じて回路を簡易化または分割してください。
  • 状態を持つ素子やLCの数はできるだけ減らすようにしてください。
  • I制御がないフィードバック回路には小さな遅れ時間回路(小さな時定数を持つRC回路など)を追加してください。

Resistance

  • 極端に小さな値を入力している場合は R=1mΩ を目安に再設定してください。
  • 直並列接続している時、問題ない場合は一つにまとめてください。

Capacitor

  • 極端に小さな値を入力している場合は C=1pF を目安に再設定してください。
  • 並列しているCがある場合は、合成するかESRをオンしてください。

Inductor

  • 極端に小さな値を入力している場合は L=1nH を目安に再設定してください。
  • 直列接続している場合は下記対応をお試しください。
  • 対応1:十分に大きい値の抵抗を並列に接続する

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  • 対応2:合成して1つのLにまとめる

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Diode

  • オフ抵抗を100kΩ程度に設定してください。
  • 蓄積電荷を0にしてください。
  • 同じパラメータのダイオードが対称的に接続されている場合は、その内の一つのオフ抵抗を半分に設定してください。
  • ダイオードが対称的に接続されている場合は、その内の一つに寄生容量に相当する小さなコンデンサを接続する

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Ideal Switch

  • オンオフが決定できないドライブ構成は避けてください。
  • 下図の場合はソース側のインピーダンスが異なり、スイッチの状態が連続して切り替わってしまい状態検出が発生します。

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下図のように修正することで解消することができます。
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  • Crssは外付けしないで下さい。
  • ボディダイオードが導通しない場合は設定をオフにしてください。
  • ゲートヒステリシス電圧を設定してください。設定値はゲート電圧の1%程度を目安としてください。
  • ドレイン・ソース間に100pF~1nF程度のCを接続してください。

Note

※複数のスイッチが存在する場合はすべてのスイッチに接続せず、状態検出されなくなる最小限にとどめてください。
※デッドタイムがある場合は必ずCを接続してください。


Comparator

  • ヒステリシス電圧は入力電圧の1%程度に設定してください。

Note

※アナログ入力とデジタル入力を比較する場合は必ず設定せてください。


増幅素子として使用するMOSFET、トランジスタ

  • 増幅素子として使用する場合はスイッチング動作しないようにしてください。
  • スイッチング動作させる場合は、理想スイッチまたは詳細スイッチをご活用ください。

論理素子

  • 代替回路として、NANDのたすき掛け回路を使用してください。

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上記の対応でも解決しない場合には

Note

上記対応でも解決しない場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
但し、以下の内容につきましては予めご了承いただきたく存じます。

  • ご対応いただきました内容につきまして、詳細をお伺いする場合がございます。
  • 具体的なパラメータ設定やモデリングにつきましては有償でのご案内となります。