相互変圧器[Winding-L、Core、Make]
Location : Transformer/Mutual Transformer
外形
説明
相互変圧器は、各巻線間の結合係数を任意に設定することによって相互インダクタンスが表現できる変圧器です。
相互変圧器はWinding-L
、Core
の3つの素子を使用し、Make
によって作成します。
Note
SCALE ver1.5以前のバージョンではESR
のないWinding-M
とESR
のあるWinding-MR
が存在しておりました。
SCALE ver1.5以降ではこれらはWinding-L
に統一されました。
Winding-L
Winding-L
は自己インダクタンス及び、結合係数による相互インダクタンスを表現できる巻線です。
パラメータのValue
には自己インダクタンス[H]を設定します。
相互インダクタンスはCore
で結合係数を指定することにより、全巻線一括して設定します。
極性点がある方が電圧プラス端子、極性点のない方電圧マイナス端子です。
コア損失解析用パラメータについて
Winding-L
はコア損失解析の対象となる素子です。
Core
ボタンではコア損失解析用のパラメータを設定することができます。
詳しくはコア損失対象素子を参照してください。
Note
損失解析を行うにはオプション製品PowerOption
が必要です。
Core
Core
は相互変圧器コアです。
素子は理想変圧器コアと共用であり、Make
で変圧器作成時に、使用されている巻線から自動で判断されます。
Note
理想変圧器用の巻線Winding
と相互変圧器用の巻線、Winding-L
は混同できません。
パラメータOrder
では各巻線に指定された巻線順序が表示されます。
その巻線順序にしたがって後述の結合係数が設定されます。
巻線順序は巻線を生成した順序になっており変更できません。
パラメータSymmetry
はチェックされているときは結合係数を対称に設定します。
チェックがない時は全結合係数を設定します。
パラメータKcc
は結合係数を設定します。
結合係数の設定方法 Symmetry
のチェックがある場合
3巻線相互変圧器の場合
異なる二つの巻線の巻線順序をi
, j
とすれば、巻線i
に対する巻線j
の結合係数Kij
を次の順序で空白、改行またはカンマで区切って入力します。
そのほかのフォーマットは自由です。
これ以外の結合係数は自動的に以下のように内部で設定されるので入力不要です。
一般にn巻線変圧器の場合、入力する結合係数の個数は(n2-n)/2
個となります。
結合係数の設定方法 Symmetry
のチェックがない場合
3巻線相互変圧器の場合
全ての結合係数を次の順序で入力します。
ただし、Kii
は1
でなければなりません。
入力する結合係数の個数はn^2
個となります。
結合係数行列をKとしたとき、 でなければなりません。
結合係数Kij
に対する相互インダクタンスMij
は、Li
,Lj
を巻線i
、巻線j
の自己インダクタンスとすれば次のように求められます。
プログラムで結合係数を利用する
プログラムで結合係数を利用するには、他のパラメータと同様にparam、setparam関数で取得、設定します。
第二引数に設定するパラメータシンボルは、結合係数Kij
を指定する場合、"Kcc[i,j]"
と記述します。
シンボル名T1の結合係数 K[1][2] を設定・取得する場合
結合係数K[1][2]をパラメータシンボルに指定する場合は"Kcc[1,2]"
と記述します。
結合係数K[1][2]は、単に"Kcc"と省略することもできます。
setparam("T1", "Kcc[1,2]", 0.9); // set
kcc12 = param("T1", "Kcc"); // get
Note
param
、setparam
関数による結合係数の取得・設定は、ver.1.5.3で拡張された機能です。
変圧器の作成方法
変圧器の作成は次の手順で行います。
① 任意の数のWinding-L
を用意します。
② Core
を用意し、他の図形と交わらないように配置します。
③ Make
を選択することで配置されているWinding-L
、Core
がグループ化され変圧器となります。
変圧器構成後は、Core
のSymbolが変圧器のSymbolとなり、Winding-L
のシンボルは変圧器のSymbol .巻線のSymbol
で表されます。
Example
変圧器のSymbolをT
、Winding-L
のSymbolをLW1
であれば
変圧器構成後のWinding-L
のSymbolはT.LW1
となります。
Note
- 変圧器はカスタム化できず、機能メニューのSymbolとValueは変圧器の構成後にON可能となります。
Core
は1個の変圧器につき1個しか配置できません。
変圧器になっていないCore
が2個以上ある場合は、Make
が使用できない状態となります。- 巻線とコアは必ず
Make
により変圧器として構成しなければなりません。 - 理想変圧器用の巻線
Winding
と相互変圧器用の巻線、Winding-L
は混同できません。
Note
Winding-L
の等価直列抵抗は、0
に設定すると短絡とみなされます。- 同じ変圧器用の巻線であれば、等価直列抵抗の有無が異なっていても使用できます。
- 図形の色は、
Make
をクリックして変圧器が構成される前では赤色、後ではデフォルト色になります。
作成した変圧器を分解する
一度構成した変圧器は一つの素子とみなされ、Ungroup
で分解することはできません。
作成した変圧器を分解するには、右クリックすることで表示できる右クリックメニュー内でBreak Transformer
を選択することで分解することができます。
パラメーター
相互インダクタンス巻線[Winding-L]
パラメーター | 内容 | 単位 | 入力範囲 |
---|---|---|---|
Symbol | 巻線シンボル | - | - |
Value | 自己インダクタンス | H | Value > 0 |
Iini | 自己インダクタンス初期電流 | A | - |
ESR | 等価直列抵抗 | Ω | ESR > 0 |
Core | コア損失パラメータ設定ボタン | - | - |
相互変圧器コア[Core]
パラメーター | 内容 | 単位 | 入力範囲 |
---|---|---|---|
Symbol | シンボル | - | - |
Order | 巻線順序 | - | - |
Symmetry | 結合係数対称性 | - | - |
Kcc | 結合係数 | - | Kii = 1 |Kij| < 1 |K| > 0(Kは結合係数行列) |
変圧器エラーの対処方法
変圧器に関するエラーの対処方法については下記を参照してください。