交流波形の解析方法
DCACインバータのサンプル回路「dcac_inverter_loss_sample.cvt2」を使用して、交流波形の解析方法について説明します。
Example
power_option/dcac_inverter/dcac_inverter_loss_sample.cvt2
Note
回路ファイルはサンプル回路TOPページからダウンロードできます。
回路の読み込み
SCALEを起動し、File->Openをクリックして「dcac_inverter_loss_sample.cvt2」を開きます。
File->Open
素子の確認
サンプル回路には損失解析に使用される素子が組み込まれています。
1. Nch FET
2. コア損失解析対象素子(インダクタ)
3. 電圧プローブ
4. 電流プローブ
損失解析前の準備
損失解析を行う前には、事前に定常状態にする必要がある為、初めに、Analysis:Transientでシミュレーションを行います。
20msのシミュレーションで定常状態になります。
Analysis->Transient
シミュレーション後にパラメータをアップデートします。
Parameter->Update
詳細損失解析(理想損失解析)を行います。
Power->Power->Detail Switch
①SW Baseによる解析方法
パラメータ設定
下記の通り、各パラメータを設定します。
SW Base:FRD1
AC Freq:0
Tolerance:1
Nsmpl:0
Note
AC Freqに0を入力した場合、SW Baseに設定したベース素子の周期が損失解析サイクル時間となります。
FRD素子を損失解析サイクル時間に設定しますので、SW BaseにFRDの大域シンボル名を入力します。
結果リストの確認
結果リストが表示され、解析完了となります。
下図はスイッチング周期10kHzで解析した結果です。
②AC Freqによる解析方法
パラメータ設定
下記の通り、各パラメータを設定します。
SW Base:FRD1
AC Freq:50
Tolerance:1
Nsmpl:9
Note
ACFreqに0より大きい数字を入力した場合、SW Baseの設定は無視され、SW Baseの内容に関係なくAC Freqの逆数が損失解析サイクル時間となります。
このとき損失解析サイクル時間は固定時間となり、この値を利用することにより任意の損失解析サイクル時間が設定できます。AC Freqに50を入力することにより、損失解析サイクル時間を50Hz(20msec)に設定しています。
Note
Nsmplのパラメータにより、スイッチング損失を計算するポイント数を設定できます。
本サンプル回路では、スイッチング周波数20kHz、AC Freq50Hzに設定している為、電力計算時間は20ms(スイッチング損失の計算ポイント数は400ポイント)となり、トータルの計算時間が長くなります。
この状況を緩和するために、Nsmplに比較的小さい値(本説明では9)を設定すると、必要な電力計算時間をNsmpl数で等分割したポイントのみでスイッチング損失計算し、その平均値を近似値として結果を表示します。これにより、計算時間を大幅に短縮することができます。
なお、サンプルポイントはできるだけ非対称が好ましいのでNsmplには奇数を設定しています。
結果リストの確認
結果リストが表示され、解析完了となります。
下図は損失解析サイクル時間を50Hz(20msec)で解析した結果です。