周波数特性解析
Note
回路ファイルはTOPページからダウンロードできます。
アナログ/デジタルの周波数特性解析
Example
freq_responce_analysis/AnalogDigitalLpfFra.cvt2

アナログのLPF(Low Pass Filter)とデジタルのLPFを例に挙げ、周波数特性解析方法を解説します。
まず、 Waveform で 1[ms] シミュレーションを行い、アナログ回路とデジタル回路のシミュレーション結果の違いを確認しましょう。
このLPFの周波数特性を解析しましょう。
アナログLPFの場合
周波数特性解析を行う場合、回路状態を十分定常状態にする必要があります。定常状態を保存し、周波数特性解析を行います。以下の手順に従って解析を行ってください。
Analysis:Transientを10m実行し応答が十分安定になっていることを確認してください。このTransient解析は、回路パラメーターの変更など、回路状態を変化させた場合には、必ず実行します。Parameter:Updateを行い、Transient解析の最終値を保持します。Analysis:Frequency:Fastを実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲のFrom,toを選択します。ここでは、OUT1:V:AVE,AnalogOut:V:AVEを選択しOKを押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
デジタルLPFの場合
アナログの手順 1, 2と同様に十分定常状態になった結果を保持します。
Analysis:Frequency:Fastを実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲のFrom,toを選択します。ここでは、OUT1:V:AVE,LPF.DigitalOut:FINを選択しOKを押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
一巡周波数特性(電圧フィードバック)
Example
freq_responce_analysis/AnalogPidControlFra.cvt2

この例では、フィードバック制御された回路の一巡の周波数特性を解析します。
図のように、 AC Sweep素子 を挿入し、その前後に入力出力波形検出用のOpen素子 OUT1 ,OUT2 を接続します。
周波数特性解析では、この OUT1 から OUT2 までを測定します。このようにすることで、 AC Sweep から出力された微小変動が、フィードバック信号に加算され、一巡の周波数特性を解析することができます。
以下に解析手順を示します。
先述のアナログの周波数特性解析と同様に、
Analysis:Transientを30[ms]実行し応答が十分安定になっていることを確認してください。Parameter:Updateを行い、Transient解析の最終値を保持します。Analysis:Frequency:Fastを実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲のFrom,toを選択します。ここでは、OUT1:V:AVE,OUT2:V:AVEを選択しOKを押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
部分周波数特性解析
系の一部分の周波数特性解析を行うには以下の様にします。
補償器の周波数特性解析
- 同様にして十分定常状態になっている状態を保持します。
From,toに、OUT1:V:AVE,AMP1.Vo:V:AVEを選択しOKを押下します。このときPhase Foldのチェックボックスを外しておくと、位相軸が固定されるのを解除できます。
主回路の周波数特性解析
- 同様にして十分定常状態になっている状態を保持します。
From,toに、CMP1.Vo:V:AVE,OUT2:V:AVEを選択しOKを押下します。
一巡周波数特性(電流フィードバック)
Example
freq_responce_analysis/AnalogPidCurrControlFra.cvt2

電流フィードバックの一巡周波数特性を測定したい場合には、例として図のように構成します。
制御対象の電流を IV Sensor を用いてフィードバックします。
IV Sensor の出力電圧と、 AC Sweep の合計を OUT1 で測定します。
周波数特性解析では、この OUT1 から制御対象の L電流 までを測定します。このようにすることで、 AC Sweep から出力された微小変動が、フィードバック信号に加算され、一巡の周波数特性を解析することができます。
先述のアナログの周波数特性解析と同様に、
Analysis:Transientを30[ms]実行し応答が十分安定になっていることを確認してください。Parameter:Updateを行い、Transient解析の最終値を保持します。Analysis:Frequency:Fastを実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲のFrom,toを選択します。ここでは、OUT1:V:AVE,L:I:AVEを選択しOKを押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
補足
周波数範囲の設定
AC Sweep素子 の Fmin 最低周波数, Fmax 最大周波数で設定します。 Fast解析 で解析結果が乱れている場合、 Fmin を低く設定すると正しく解析できる場合があります。 Fmax はメイン周波数の約1/4程度が限界です。
信号電圧について
交流信号源の電圧Vacを設定します。Vacは、理論的にはなるべく小さいほうが解析は正確になりますが、小さすぎるとリップル等の雑音の影響を受けやすくなります。また、逆に大きすぎる場合には飽和したり波形が歪んだりします。通常は、デフォルトの1mVで良いでしょう。1uV~1V程度で設定してください。
周波数特性の結果がうまく得られないときは
周波数特性解析は、系によっては正確な結果が得られない場合もあります。正確な結果を得るために、下記の項目を検討してください。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 回路を安定系にする | 周波数特性は定常状態で計測するため、系全体が安定系となるよう設計してください。 |
| 直流波形を解析する | 交流電源や他の理由で波形が振動する場合、AC Sweep 素子の正弦波信号が乱されてしまうため、正確な周波数特性は得られません。直流波形に変換して解析してください。 |
| 変数のモードをAveに設定する | 入力・出力波形には任意の変数モードを指定可能ですが、通常、平均値の特性で周波数特性を解析することが一般的と考えられるため、変数モードには「Ave」を設定してください。 |
| 周波数特性の解析帯域を確認する | AC Sweep 素子のパラメーターで、周波数特性を解析する帯域を指定する「Fmin」と「Fmax」の値を確認してください。 「Fmin」の値が大きい場合、正確な特性が得られないことがあるため、十分に小さい値にしてください。 「Fmax」 はメイン周波数の約1/4程度が限界です。 |






