状態決定に関する警告・エラーの対処方法
状態決定に失敗すると、デフォルトの設定ではメインウィンドウのタイトルに警告が表示されます。
状態決定失敗箇所の確認
状態決定エラー表示が出たら、 ツールバー内のWindow:Window:State
からStateウインドウを開き、
どのスイッチング素子がエラーを起こしているか確認します。
状態が赤く表示されていればそこが原因です。
ON・OFFを頻繁に繰り返しているスイッチング素子も原因となります。
ツールバー内のView:Option:State
の Error Trap
をチェックして解析するとエラーが起こったところで解析が中断するので、そこで Stateウィンドウ を確認できます。
STATE:状態決定失敗の対処法
以下に示す状態決定エラーの原因とその対処法を確認し、回路を修正ください。
ダイオードや抵抗のパラメーター値が適切でない
以下のような時にオンオフの状態決定エラーが発生する場合があります。
1. ダイオードのオフ抵抗(デフォルト:1MΩ)が大きすぎる。
2. 1mΩ以下の小さい抵抗が使用されている。
上記のような場合、ダイオードのオフ抵抗であれば小さく(例:100kΩ程度)、
抵抗の場合では1mΩ以上の影響のない範囲で大きくしてください。
スイッチのドライブ方法で起こる状態決定エラー
次の回路は、P1でQ1をドライブし、P1のON・OFFにしたがってQ1をON・OFFしようとする回路です。
しかし、この回路では状態決定エラーが生じ、メインウィンドウのタイトルバーにエラー表示が出ます。
理由は以下のとおりです。 まず、P1がOFFだとします。
この時、Q1はOFFでR1に電流が流れないので、R1の電圧は0Vです。
次にP1がONになったとします。
すると、Q1のソース・ゲート間には2Vがかかり、一瞬Q1がONしますが、Q1がONするとR1に電流が流れR1の電圧は5V(Q1のオン電圧は無視する)になります。
すると、Q1のソース・ゲート間には2-5=-3Vの電圧がかかりQ1はOFFします。
Q1がOFFになると、R1の電圧が0Vとなって初めの状態に戻り、これらの動作が循環し状態エラー(状態が決定できない)となります。
これを避けるには、P1、Q1のドライブ回路を以下のように修正します。
この回路では、R1の状態に関係なくP1でQ1を確実にドライブでき、状態エラーは解消されます。
このように、スイッチをドライブするときには、ドライブ素子または回路を直接スイッチの端子に接続してください。
スイッチング素子(スイッチやダイオード)が多数存在する場合
スイッチング素子が多数存在する場合は、数値誤差などにより状態決定エラーが生じる場合があります。
この場合、以下のような手順で回避します。
- SwitchのVhysのようにヒステリシス値が設定できる場合は、適当な値を入れてみる。
- スイッチング素子のバイアス電圧部分に小さなCを付加する。
これによりバイアス電圧が落ち着き状態が確定する。
- 増幅動作が必要ない箇所でのMOSFETやトランジスタによるスイッチングは避ける。
スイッチング動作のみのシミュレーションでよい場合にはスイッチ、またはPWMスイッチ素子を用いる。
多数の同じパラメータ値のダイオードが対称的に接続されている場合
多数のダイオードが同じパラメータ値を持ち接続に対称性があると、
同時にオンオフするダイオードが生じるため状態エラーが生じやすくなります。
下図のように4個のダイオードでディスクリート構成して、状態エラーが発生した場合、D1のオフ抵抗を半分にしてください。
以前は正常に解析できた回路でエラーが発生したとき
SCALEのバージョンアップにより、回路エラーが強化され、以前は判定されなかったエラーが判定されるようになることがあります。
この場合は表示されたエラーメッセージに従って正しい回路に修正してください。